平成28年11月18日、臨時国会において「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」が成立し、11月28日に公布されました。
改正では、以下の目的を内容としています。
①「介護福祉士」の国家資格を有する外国人が、介護業務に従事するための在留資格を創設する
②偽装滞在者問題に対処するために、罰則の整備・在留資格取消制度の強化
在留資格「介護」の創設
介護福祉士の資格をもつ外国人が、介護施設等との契約に基づき、介護(または介護指導)の業務に従事するための在留資格が創設されます。
※この在留資格「介護」の対象となるのは、日本国内の介護福祉養成施設(都道府県知事が指定する専門学校など)を卒業して、介護福祉士の国家資格を取得した方です。
一般的な在留資格「介護」取得の例
在留資格「留学」
1.留学生として日本に入国
2.介護福祉士養成施設にて修学(2年以上)
3.国家資格「介護福祉士」取得
4.在留資格変更許可申請「留学」→「介護」
- 平成29年度より介護福祉士養成施設の卒業者も国家試験の合格が必須です。ただし、平成33年までの卒業者には、卒業後5年間の経過措置あり。
- 一旦母国に帰国し、在留資格「介護」で入国することも可。
在留資格「介護」
5.介護福祉士として業務に従事
- 在留の状況に問題がなければ、在留期間の更新可(回数制限なし)。通常の在留資格と同様、配偶者や子が在留資格「家族滞在」として日本に在留することも可。
偽装滞在者に対する対策強化
近年では、偽装した卒業証明書・虚偽の雇用契約書などを提出して、不正に在留資格を取得する者や、技能実習先から無断で逃亡し、他の職業につく「失踪技能実習生」等の偽装滞在者が問題となっています。それに対処するため、偽装滞在者への対策を強化する法改正がされました。
罰則の整備
新たに罰則の対象者となる者
偽りその他の不正な手段により、
・在留期間更新許可を受けた者
・在留資格変更許可を受けた者
・上陸許可を受けて日本に上陸した者
・永住許可を受けた者
罰則
3年以下の懲役または禁錮
300万円以下の罰金
のいずれか又はその両方
※営利目的で上記のような行為を行うことを容易にした者については、通常の幇助犯の刑よりも重い3年以下の懲役または300万円以下の罰金のいずれかまたはその両方
在留資格取消制度の強化
在留資格取消事由の新設
日本において行うことができる活動が定められている在留資格により在留しながら、実際には、その活動をしていない外国人に対する在留資格の取消事由として、「在留資格に応じた活動を行っておらず」かつ「他の活動を行いまたは行おうとして在留している場合」という新しい取消事由が定められました。
今までは、在留資格に応じた活動を「3か月以上行っていない場合」にはじめて、在留資格の取消しが可能となっていましたが、今回の法改正で新設される取消事由によって、3ヶ月経たない場合であっても、「在留資格に応じた活動を行っておらず」かつ「他の活動を行いまたは行おうしている場合」に、在留資格を取り消すことができるようにとなりました。ただし、正当な理由がある場合は対象外です。
調査主体の追加
在留資格を取り消すか否かの判断の前提となる事実調査を、入国審査官だけでなく、「入国警備官」も行えるように拡張されました。