永住許可申請とは、既に日本に生活基盤を置く外国人が生涯にわたって日本に住み続けたい場合に永住許可を得ようとする手続です。
日本に在住する外国人の方が、在留資格の更新をせずに、長く日本で暮らしたいと思う場合には、この永住権を取得することをお勧めしています。

永住権の取得

永住権を取得するとは、永住許可申請が認められることで、現在有している在留資格を、「永住者」に変更することです。
日本は、海外からの永住者を受け入れる制度を採用していないため、永住者以外の在留資格を有する外国人で、一定の要件を満たす者に対して在留資格の変更又は在留資格取得の手続きで永住を許可することになっています。
つまりは、外国人は初めから永住者の許可申請はできません。

「他の在留資格(例えば、技術・人文知識・国際業務)」→「永住者」に変更する場合に、この永住許可申請が必要となります。

*「永住者」は、身分に関する特別な資格なので、他の資格からの変更ですが、「在留資格変更許可申請」とは区別されています。

永住許可申請をするメリット

永住許可を得ると、たくさんのメリットが手に入ります。

  • 在留期間がない(更新の手続が不要)
  • 就労に関する制限がない(法律の制限がある場合を除く)
  • 配偶者や子も永住許可を得やすくなる
  • 「帰化」とは違い、国籍は母国のまま
  • 日本人配偶者と死別、離別しても在留資格に影響なし
  • 商取引や社会生活上で信用が得られる
  • 在留特別許可の可能性が高くなる(*)

*万が一退去強制事由に該当してしまったときに、永住許可を受けていると在留特別許可が得られる可能性があります。つまり、日本で住み続けることが可能となります。

永住許可の要件

永住許可は、非常にメリットが多い反面、要件は厳格です。

(1)素行が善良であること
法律を遵守しており、日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいることが必要です。例えば、法令違反がなく、納税義務を果たしているといったことです。

(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日本での安定した生活が見込まれることが必要であり、世帯単位での資産で判断されます。
つまりは、日常生活において公共の負担にならず、その有する資産または技能等から見て、将来において安定した生活が見込まれることが必要です。

(3)その者の永住が日本国の利益に合致すること
日本国益に合致することとは、以下のような者をいいます。

  • 原則として引き続き10年以上日本に在留していること
    ただし、この期間内に、就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していること
  • 罰金刑や懲役刑等を受けていないこと及び納税義務等の公的義務を履行していること
  • 現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること
  • 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと

*ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子は、(1)および(2)に適合することは要しない。また、難民認定を受けている者は、(2)に適合することを要しない。
*原則10年には、例外がありますので、お問合せください。

永住許可申請の申請方法

永住許可申請の方法について基本的な事項を解説致します。
永住許可申請者・許可までの期間・申請先・手数料について書いております。
気になる方はご覧ください。

永住許可申請の申請者

  1.  外国人本人
  2.  代理人(申請人本人の法定代理人)
  3.  申請取次者
    本人から依頼を受け、本人や代理人の代わりに書類を提出できる者です。
    ・申請人が経営している機関または雇用されている機関の職員
    ・申請人が研修または教育を受けている機関の職員
    ・外国人が行う技能、技術または知識を習得する活動の監理を行う団体
    ・外国人の円滑な受け入れを図ることを目的とする公益法人の職員
    ・地方入国管理局長に届け出た行政書士または弁護士で、申請人から依頼を受けた者
    ・その他

永住許可の申請から許可までの期間(標準処理期間)

永住許可申請をしてから、許可・不許可が出るまで4~6か月程度かかります。

永住許可申請の申請先

外国人が住む場所を管轄する地方入国管理局です。

永住許可申請に係る手数料

地方入国管理局で許可される際に8000円の収入印紙で支払います。

注1:ご依頼される際は別途報酬がかかります。
注2:ただし、「取得」の場合には手数料はかかりません。
*この「取得」というのは、特別永住者の子は永住許可申請をすることなく、永住権を取得することができる場合です。ちなみに、特別永住者とは、戦後の一時期の平和条約国籍離脱者とその子のことです。

永住と帰化の違い

日本の永住権を取得した場合は、その外国人は在留期間の更新をすることなく、長く日本に住み続けることができますが、国籍は母国の国籍のままです。
「永住者」の在留資格をもつことで在留期間の更新が不要になりますが、万が一問題があれば強制送還の対象となり、旅行や一時帰国等で出国する場合にも再入国の手続が必要となります。また、選挙権や社会保険などにも制限があります。
一方、日本に「帰化」した外国人は日本国籍を取得することになります。日本は多重国籍を認めていないため、母国の国籍を失います。また、日本国籍を離脱しない限り日本人として生きることになります。
日本人になるということは、当然に在留期間の更新という概念はなくなります。さらに、強制送還の対象にもならないし、出国する場合も再入国手続も不要です。さらに、参政権を得ることもできるのです。